ひな人形をつくろう!
生活介護事業では 今できている事を続けられるように(機能維持)、手先等の衰えの予防、意欲の向上等を目的とした創作活動を行っています。毎回意識している事は季節を感じられるものという事で、今回は3月という事もありひな人形作りを行いました。 利用者さんは無気力の症状が強かったり、薬の副作用などで手の震えが あったりと一人ひとり症状や状態が異なりますが、皆さんが気軽に参加出来るようにあまり難しくならないようにという点を気を付けています。
材料も身近にある物です。 空容器 折り紙 顔に使う厚紙 紙皿 サインペン のり セロハンテープ
始めるにあったての注意点として、利用者さんが完成後を自身でイメージ出来るように、お手本としてお見せするものは完全には仕上げていない物を用意するようにしています。
今回は、衣装にする折り紙は折ってはいるが着せて(巻きつけて)はいない。 顔の部分は厚紙に輪郭は書いてはいるが、目鼻などのパーツは書いていないなどです。 そうする事で衣装にする折り紙は何色でも、どんな柄でも良いんだ。 顔はどんな表情にしようか、などと利用者さん自身に考えて頂くきっかけになります。
では制作スタートです。
まずは衣装にする折り紙選びからです。スムーズに決まる方もいれば、ずっと迷っている方も迷っている方には「何色がすきですか?」「一番に目についた柄はどれでか?」などと質問しながら進めていきます。この柄の衣装にはこの色の帯がいいかな?と迷いながらも皆さん楽しそうに選ばれていました。
容器の高さに合わせて折り紙を切ったり、折り曲げたりとここでもそれぞれに考えて取り組まれていました。
衣装の折り紙を巻き付ける時も、貼り合わせ部分がずれないようにと一生懸命ですが、ずれてしまっても「それも味があっていいですよと」声をかけると笑顔を返してくださる方もらっしゃいました。
容器に衣装を着せた後は顔づくりです。 お手本を見ながら厚紙に顔を書いていきます。ここが利用者さんの個性が一番出る所だと思われます。 笑っている顔、少し悲しそうな顔、お内裏様でもお化粧をしている…など(笑い) 書き終わるとハサミを使って切り抜く作業に入りますが、ここは一気に利用者さん達の緊張が高まります。
「上手く切れるかな?」「失敗したらどうしよう…」
細かい作業への苦手意識や、普段からの手の震えのために不安を訴える方もいらっしゃいますが、「上手く切らなければいけない、失敗してはいけないことなんてないんですよ」と声掛けを行い、個別にお手伝いする事で不安を訴えられていた方も恐る恐る挑戦されていました。
手を切らないようにゆっくりゆっくり…
次は頑張って切り抜いた顔をセロハンテープで貼り付けますが、顔が正面に向くように全体のバランスを見ながらの気を使う作業になります。いよいよ最終工程、顔を付けた後は土台となる紙皿に固定します。 すると、一つ一つ個性のある素敵なひな人形が完成しました!
創作活動への参加の呼びかけを行った時は「自分には出来ない」「しなくてもいい」と消極的な反応を示されていた方が、「こんな風になったよ」と出来上がった作品を嬉しそうに見せてくださると私達支援員も大変嬉しく感じますし、次は何を作ろう、どんな風におこなおうかというモチベーションにもなります。
また、創作活動は利用者さんが最後までやり遂げた!作り上げた!という達成感を味わう事で自信が付き、その自信が次もまた参加しようかな?こんなこともできるかも?と意欲の向上に繋がるきっかけ作りになることもあります。 5月は鯉のぼり、7月は七夕飾り…この後も色々な季節のイベントがありますが、利用者さん達と何をしようかどんなものを作ろうかと楽しみは続きますが、どのような支援が出来るかと考える事も続く日々です。