療育って?
療育と言いましても、一般の方には馴染みが薄い言葉と思いますので、どういう事なのか少し考えてみました。
たすかる早崎が考える療育『ていねいな保育と教育』についての考え方は、そのまま理念となっています。
※障害という言葉は、ときに「特性」と置き換えて表現しています。
療育とはどういったものなのですか?
療育とは、よく「治療と保育・教育」と言われますが、私たちは医療的な行為は行いません。私たちは「ていねいな保育・教育」を支援していくことが療育ではないか考えています。
なぜ?必要なのですか?
例えば、20名の幼児を1人の保育士さんで見る集団保育の場において、健常児は先生の指示や周りの子を見ながら学び、色々なことを獲得することができます。しかし、支援が必要なお子さんは、先生の指示を聞き逃したり、指示の理解ができなかったり、周りの子を意識できなかったりと、集団の中では学ぶ力が弱く、
怒られたり、からかわれたり、できない自分に腹をたてたり・・・と、
自己肯定感(自分は大切な存在だ、かけがえのない存在だと思える心)がどんどん低くなってしまいます。
療育は、1~5名程度の小グループで行い、スタッフはリーダー1名とサブスタッフ数名で子どもさんをサポートするため、「ここ!」というポイントでの支援ができますので、子どもさんが何につまづいているのか、問題行動の背景にあるものを探り、よりよい支援の方法を見つけることもできます。
支援が必要な子どもさんには、ていねいな関わり、その子その子に合った支援方法が重要だと思っています。
更に、そのような支援を受ける事こそが、どの子も伸び伸びと成長できると私たちは考えているからです。
昔は無かったが、どうしていたのですか?
昔も、特性を持った子どもはたくさんいたと思います。ただ、昔は子ども達が外遊びをたくさんできる環境がありました。近所の子ども達で集まり、野山を駆け回ったり、色々な物を持ち寄って秘密基地を作ったり、川遊びや磯遊びなど、毎日毎日体を使った遊びを日が暮れるまでやっていました。
身体を動かして自然の中で遊ぶことは、脳の発達を促します。五感(視覚・聴覚・臭覚・味覚・触覚)をフルに働かせ、子ども達が欲する感覚を遊びの中で満たすことは、療育のプログラムの中でも重要事項です。
昔はそれが日々の生活の中で日常的にできる環境だったため、特性を持つ子も脳の発達が促され、周りの子たちとほぼ変わりなく過ごせたのではないかと思います。
また、遊びを共有する異年齢の子ども集団の中にはリーダー的な子がおり、集団内の秩序がありました。同じ遊びをするにしても、年齢や体力・知力の差への配慮があり、みんなが楽しく遊ぶためにはルールを守ることが必要であることを集団の中で体験することができました。
もちろん、意見のぶつかりあいもあり、時には殴り合いの喧嘩もありましたが、トラブルの原因も経過もみんなが見届けていたため、善悪の判断もみんなで確認することができ、「謝る」ことや「許す」ことも日常的なプログラムに入っていたと思います。『感謝と許す心』という言葉は、昔は子どもの頃の日常的な体験の中で育まれていたのだなと改めて思います。
すべてのことには当てはまらないかもしれませんが、今「療育」と称して行っていることが、昔は子ども達の生活の中で日常的に行われていたように思います。
子どもを取り巻く社会環境の変化が、大きく影響しているように思います。
今後、療育はどうあるべきですか?
「療育=障害児が受けるもの」という考え方が根強い・・・というのが現状です。
「障害」という言葉自体が、保護者の受容(それを受け入れて前向きに取り組む)を阻み子どもに必要な支援を受けさせない「障害物」になっているのではないかと感じています。
診断名がつかなくても、「あれ?」という気づきの段階から療育等の支援が必要に応じて受けられる環境、保護者が気軽に相談できて、みんなで子育てできるような社会であればいいなと思って取り組んでいます。
まだまだ、道の途中ですが少しずつ目指す方向に進んでいるかな?と感じています。
実際、医療機関や市の保健師さんからの紹介で見学に来られた親子さんが、最初はとても不安そうな表情だったのが、見学終了時には笑顔で「また来たい!」と仰り、療育を開始して、表情が活き活きしてきたり、好ましい行動が増えたり、ことばが少しずつ増えていく様子を見ると、療育の仕事に関わっていて本当に良かったと思います。
発達障がい児の早期発見の為療育はゼロ歳児から全ての子に行うべきでは?
療育=ていねいな保育、という考え方に基づけば、ゼロ歳児にはどの子にもある程度ていねいな保育がなされていると思います。
なぜ早期発見が重要なのですか?
「あれ?」という気づきの段階から関係機関につながることで、適切な支援を受けることができ、誤学習や二次障害を防ぐことにも繋がります。
療育を早く開始する方が、より効果的と考えています。
たすかる早崎ではどういう取り組みをしていますか?
「早期発見」は現在、地域の保健師さん達の訪問や健診等から発達相談→医療機関という手順で行われています。
私たち、たすかる早崎の役割は「発見」するというより発見の次の段階にある「支援」に重点を置いています。
地域での療育が必要であると紹介されたお子さん一人ひとりに、どのような支援が必要なのかを見極め、その子に適したグループを決め、個別支援計画を立て、小グループ療育を実施していきます。
現在たすかる早崎では、年少児(3歳児)からの小グループ療育が一般的ですが、必要に応じて早期療育(1~2歳児対象)もできるように、県立こども医療福祉センターにおいて研修を受けています。
皆さま、宜しくお願い致します。